梅田地下・串カツ松葉も自主撤去!大阪名物「不法占拠」の光景が消えて無くなる日

とうとう大阪・梅田地下街の名物風景だった「串カツ松葉」が自主撤去に応じて、本日6月13日以降の営業を辞めてしまっている。この店の顛末については今年2月の大阪DEEP案内でのレポートで詳しく書いている。

大阪市 梅田

正式には大阪市が管理する「大阪駅前地下道」という名称で、昭和23(1948)年の創業から60年以上に渡って営業していた件の「串カツ松葉」をはじめ、この地下道内にあった店舗は全て公道の下にある事から「道路占用許可」を大阪市から貰って、かなり激安な賃料で長年使っていたという事になる。この道路占用許可の更新は毎年行われるのが決まりだが、地下道の拡幅工事を理由に去年9月をもって大阪市側が更新をストップした事で、それ以後立ち退きに応じず独断で営業を続けてきた「串カツ松葉」は「不法占拠物件」という事になっていた訳だ。

大阪市 梅田

一部マスコミでは「大阪の文化」「大阪らしい情緒ある光景が無くなる」だとか何とか、やたらと「人情」を持ち上げて違法状態を棚に上げて行政批判する論調の記事まで出だして、はいはい、まあなんともいつもの大阪民国ですね、法よりも情が勝る「情治国家」は隣の半島だけで充分ですから、といった感じになってましたが、ひとまず松葉側の自主撤去で幕を引いた形になる訳だ。「松葉」の串カツの味はとりたてて特別なものではない。この場所で食べるという面白さはあるだろうが、阪急側の新梅田食道街にも同じ「松葉」の店舗はあるし、この店が大阪人全員に愛されている風にも思えない。むしろ、多数の通勤通学者が毎日往来するような人通りの非常に多い狭い階段のそばにある事で大概「油臭くて疎ましい店」だと思われてるだろう。

大阪市 梅田

この件ではどれも横並びで「串カツ松葉」だけが報道されているが、隣の「チケットショップオアシス」も長年この場所で営業し、大阪市側の退去命令に最後まで従わなかった店舗の一つである。このチケットショップは御堂筋線梅田駅の改札の真ん前にあって、人通りが最も激しい場所に店を構えていて、いつ来ても店の前に行列が出来ている。恐らくチケットショップ業界では全国屈指のドル箱店舗ではなかろうか。しかし店側は道路の占用許可だけを受けた他の店舗とは違い、大阪市の外郭団体「大阪市民共済会」と店舗としての賃貸借契約を締結し月約400万円の賃料を支払っており、大阪市はこの賃貸借契約を無視して行政代執行を行おうとしている、などと業務委託元会社のホームページで主張している。まあ、何がなんだかと言った感じですが…

大阪市 桜ノ宮

さて、「戦後のドサクサ」で駅前一等地や河川敷などを不法占拠されたままの場所は全国各地に確かに今も沢山残っているが、大阪という街がとりわけ「不法占拠」という法律違反に比較的寛容であった土地というのは、これまで当方も大阪DEEP案内などで散々伝えてきた。やはり大阪と言えば駅前闇市コリアタウンの「鶴橋」を筆頭に、桜ノ宮の大川沿いにあった「古鉄街」や在日コリアンの土着シャーマニズムの祈祷場「龍王宮」、それに北区樋之口町界隈、そもそもあの大阪駅前第一~第四ビルだって戦後にできた巨大闇市をクリアランスさせる為にこしらえたものだ。なお、戦後の梅田における不法占拠の実態は「梅田村事件」というキーワードで調べれば色々と記事が出てくる。

大阪市 道頓堀

それから「松葉」のような「名物店の不法占拠」というケースで言えば、道頓堀商店街の太左衛門橋前で昭和47(1972)年から市有地に屋台を構え営業していた「本家大たこ」は記憶に新しい。ここも観光地のど真ん中にある事から場所が最高に良くドル箱状態の行列店であったが、2006年、店側は大阪市に対し「20年以上店を営業しており土地の時効取得が成立している」として土地所有権の移転登記を求め大阪地裁に提訴したが、大阪市側に「不法占拠である」と逆に告訴され、結果最高裁まで行ったが「過去の土地使用料の支払いと土地の明け渡し」の命令を大たこ側に下し、上告を却下されて大たこの負けが確定したのだ。

大阪市 道頓堀

で、大たこ側はその後どうしたかというと、2010年12月に大阪市による行政代執行で強制撤去を食らう直前になって、初めて不法占拠していた市有地から屋台を自主撤去して、しばらくして向かいの土地にテナントを構えて店を再開していた。現在もこの店舗は現役で営業している。

大阪市 道頓堀

「大たこ」を含めた屋台数店舗に不法占拠されていた市有地は後に大阪市によって完全撤去され、緑色のフェンスとプランター、車止めが設置されて再占拠されないようがっちりブロックされている。これも結果的に行政が重い腰を上げて違法状態を解消するに至った訳だが、「大たこ」にせよ「松葉」にせよ、それまで長い期間違法状態を黙認してきた大阪市という組織のグダグダっぷりが招いた事態であることには違いない。その上に「大阪名所」として大々的に観光資源に祭り上げられてきたのだからお笑いもいいところだ。

大阪市 西成区

そんな大阪でも近年は「不法占拠物件」が続々クリアランスされて、街並みが地味に綺麗になり始めている。あの桜ノ宮の不法占拠バラック「古鉄街」も完全消滅したし、ホームレスタウンとして全国区の知名度を誇る西成・釜ヶ崎も、JR新今宮駅脇の大規模なホームレス村や、萩之茶屋小学校に面した土地に置かれた不法占拠屋台街が全て撤去されてしまった。

大阪市 西成区

釜ヶ崎でも、7~8年くらい前まではそんな不法占拠の屋台の店先で我が子をすっぽんぽんにして「沐浴」させているという、まるで東南アジアかよと思わせるようなワイルドな日常風景が見られたのだが、この頃と比べるとこの街も随分大人しくなった。

大阪市 西成区

これは大阪だけではなく全国的な流れだが、「ホームレス自立支援法」に基づきこれまで住所不定のために福祉施策が行き遅れていたホームレスに生活保護を支給しつつ福祉アパートに住ませるなど対策が進んでいる事からか、街中のホームレス村もどんどん撤去されて姿を消しつつある。写真は西成区北津守の木津川堤防沿いにあったホームレス村だ。ここの掘っ立て小屋群も今では殆ど撤去されている。

大阪市 浪速区

さらに、浪速区の南海汐見橋駅近くの汐見橋線線路沿いにあったホームレス村も今では綺麗さっぱり無くなってしまった。こうして長い目で大阪の街を見ても「不法占拠物件」はみるみる姿を消しているように思える。こうしたものを肉眼で観察できる時期もそう長くないのかも知れない。


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DEEP案内シリーズ管理人、執筆、取材諸々の活動を行う。サイト開設以来、完全に個人の趣味でしかやってません。 関連サイト→ 新日本DEEP案内 ツイッター @deepannai
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