「谷中銀座商店街」が観光客の写真撮影を禁止している件

先日Twitterのタイムラインに知ったんですが、台東区の谷中銀座商店街が「カメラをお持ちの皆様へ 当商店街は写真の無断撮影は、禁止です。写真を撮る前に必ず一声かけて撮影してください。マナーを守って楽しい散策を」という注意書きを張り出して色々話題になってるみたいです。

そもそも谷中銀座商店街がどのような商店街なのか、特に他地方の方々にはわかりづらいと思うので軽く説明する。

東京都 台東区

谷中銀座商店街は最寄りがJR日暮里駅。駅の西口を降りて山の手方向に徒歩5分歩くと「夕焼けだんだん」という階段が下り方向に伸びておりこの先に連なる商店街がそれ。東京の下町エリアと文教エリアの微妙な境目を通り、商店街の付近も台東区や荒川区といったド下町区と、文京区という都心の高級住宅地と認識される区との境目が入り乱れているという、まあ結構特殊な地理条件の街かも知れない。

ここいらは東京大空襲の被害から比較的免れている事もあって、情緒ある古い住宅地や寺町やらが沢山残っており、上野からも徒歩圏内にある事から下町散策にうってつけのエリアで、近年「谷根千」などという言葉が生まれてこの一帯がいわゆるブランド的な扱いを受けてしまっている。

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「谷根千」という言葉が認識されるにつれてこの地域のメディア露出度も上昇傾向にあり、ここ最近は特に観光客向けの小奇麗なカフェがずんずん進出したり「テレビで紹介されました!」的なミーハーでまいうーなサイン色紙などを飾ったメンチカツ屋なんかが軒を連ねる場所になっている。土日にやってきたら地元民らしい人は殆ど居ない。9割がた観光客ばかりという感じの場所ですね。

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もちろん不特定多数の観光客がこぞってやってくる場所だから、中にはマナーのいろはも分からず一部の他人に不快と思われる行動を取る奴が一定数現れるもので、携帯カメラでさりげなくパシャッと一枚撮る人もいればごつい一眼レフを手に持って、所構わず勝手にバシャバシャ写真を撮りまくる人間もその中に含まれる事になる。ちなみに当取材班は「公共の場所、またはそこから見える範囲の写真撮影は問題ない」としていて、グーグルのストリートビューあたりの認識と合わせて写真撮影の可否を判断している。

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見知らぬ輩に写真を撮られる事を嫌う人間もいるしそのへんの感覚もまちまちだが、別にこの谷中銀座商店街が飛田新地や吉原や山谷や西成といったワケありの方々が集まるような場所な訳ではあるまいし、谷中銀座なんてすっかり観光地として定着しているような場所なら、いきずりの観光客に勝手に写真を撮られても、まあしょうがないだろうと諦めるのがおおよその判断であろう。しかしそんなイカニモ観光地的な谷中銀座商店街がまるごと「無断での写真撮影を禁止」するというのはどういう事なのか。

この事情には谷中銀座商店街に店を構えるとある一軒の激安惣菜屋の存在が絡んでいるように思えてならない。「谷中銀座 撮影禁止」などでググるとその店の名前も出てくるのでここでは店名は伏せておくとして…

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この惣菜屋、店先にでかい値札を貼り付けて激安をアピールしまくっている店だが、東京の足立区や葛飾区あたりに似通った店構えの惣菜屋が何店舗かあり、そのうちの一つであろうと思われる。下町の貧乏暮らしをしている方々には定評があり、どの店も行列が絶えない人気店となっている。同じ谷中銀座の小奇麗な土産物屋やカフェとは違いここだけは小汚い外観で、端から観光客は相手にしていない。

とりわけ店内に「撮影禁止」の札を提げて観光客の撮影を拒んでいるのだが、時折その札の存在に気づかずうっかりカメラのレンズを向けようものなら

「何撮ってんだよ!撮影禁止って書いてるだろ!!」などと猛烈な剣幕で怒鳴られてしまう。

この惣菜屋に突然怒号を向けられ、半ば頭が真っ白になって精神を凹ませてしまう観光客が続出、ネット上にもこの惣菜屋の噂は多数出回っており、谷中銀座の有名なトラップ物件と化しているのである。

店の判断で各々写真撮影を禁止するのは致し方ないとしても、頭ごなしに怒鳴りつけるのではなく、もっと言い方というものがあるだろうと憤慨する観光客も多い。こういうのも惣菜屋からすれば「マナーの悪い観光客」という事になってしまうのだろうが、とりわけ谷中銀座は写真撮影トラブルの多い場所になっていてその事が他の商店にも波及した結果、商店街全体が「ノーピクチャー」になってしまったのであろうか。

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それなら何故この商店街はこれまでテレビへの露出が激しく繰り返されてきたのか、メディアにチヤホヤされると大抵碌な事にならないのが東京という都会なのだが、商店主達にそういった事への危惧は少しでもあったのだろうか。

かつてはカメラも高級品でそれなりの人しか買わなかったものが、本格的な一眼レフでも趣味の範疇の価格帯で手が出せるようになったし、みんなカメラ付き携帯電話を持っていて誰かしら何かしら撮った画像をTwitterに上げまくるし、プライバシーなんてあったものではない。どこで誰に写真を撮られているかいちいち気にしていたら、もはや外出することすら出来ない、そんな時代である。

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とはいえこの谷中一帯、野良猫だらけで寺町や古い街並みがてんこもり、路地裏散策には大変魅力的な街なので、商店街がアレでもこの街の事はどうか嫌いにならないで頂きたい。

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DEEP案内シリーズ管理人、執筆、取材諸々の活動を行う。サイト開設以来、完全に個人の趣味でしかやってません。 関連サイト→ 新日本DEEP案内 ツイッター @deepannai
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